さて、今年の日本ダービーは牝馬のウオッカが参戦とあって話題を集めていますが、それでも1番人気、最も期待されている馬は間違いなくフサイチホウオーでしょう。僕自身、セレクトセールで見たときから注目し、デビューからずっと追いかけ続けた馬だけに、この舞台を1番人気で迎えられることを非常に喜んでいます。そして父ジャングルポケットのファンだったこともあり、タスカータソルテと産駒2頭出しで父のもっとも得意とした舞台、親仔制覇のかかる伝統の一戦を迎えたことに感慨も覚えます。
先日久々に昨年のPOG本を引っ張り出してぱらぱらみていたのですが、改めてこの馬の写真を見ると今とはずいぶん体つきが違うなぁと思いました。トモの肉や骨格の太さは特筆ものでしたが、全体に緩く、幼く、手脚も胴も短い印象です。新馬のパドックで見たときは逞しい筋肉がついてさすが松国と思ったと記憶しています、でも、まだ寸詰まりの印象でした。いまのホウオーは体に伸びやかさもでて、筋肉質なのにゆとりがある非常に素晴らしい形になっています。松国さん自体、デビュー前は手足が短くて心配したと言っていたぐらいなので、これだけの成長は予想外だったに違いありません。原石が時間をかけて磨かれて、宝石といえるまで成長していく様を1年かけて見ることができました。
全然、予想になっていないのですが・・・、少しだけ展望も。毎年言っていることですが、日本ダービーというレースは「絶対当てなきゃいけないレース」なんだと思います。というのは、2歳時からすべての馬がこのレースを目標にし、数多くのステップを経験しながら淘汰され、絞られて、最後に残ったのがこの18頭なわけです。そしてこの馬たちもすでに直接・間接にしろ対戦経験のデータがあり、皐月賞というある意味で最大の前哨戦を経験して、この舞台となるわけです。いわばピラミッドの頂点、これまでのレースをきちんと見ていれば、力関係は大方はっきりしているはずで、東京2400mのコース形態からしてもそこに「展開のアヤ」「伏兵の大駆け」といった要素が入り込む隙はほとんどなく、また、すべての陣営がここを最大目標としていることからも、有力馬の仕上げ、調整失敗という懸念も限りなく少ない。ゆえにファンが支持する本命馬が確固として存在し、また、その1番人気が圧倒的に強いというデータもそれを裏付けている。ダービーの1番人気が強いのは、その馬が1番人気になる裏づけの分母が圧倒的に多いから、だからこの数字には勝利の魔力が宿っています。
というわけで、間違いなく1番人気に推されるであろうフサイチホウオーの1着を信じたいと思います。ホウオーに不安がないと言ったら嘘になります。以前からいっているように、この馬は左手前で走るのが大好きなようで左周りの東京競馬場では直線で上手く手前を替えて走れるのか、また、その際にヨレたりしないだろうか。最終追いきりの様子を見ましたが体調はともかく、手前は終始ぎこちない印象でこのへんの問題は解消されていません。でも陣営も鞍上もすでに吹っ切れている様子。僕もそういうことはあれこれ言っても始まらないかなと思います。直線入って右手前からすぐに左手前に変えてしまっても、ホウオーにとってそれが一番走りやすいならそのまま突き抜けろと、ヨレるのが心配なら、最初から大外持ち出せと。父ジャングルポケットもダービーのときは抜けてから実は遊んで走っていました。そのぐらいの余裕をかませるノリで、ホウオーらしい走りをみせてほしいです。
あとの馬では、アドマイヤオーラが馬体的にピークで少々怖い。本質的にはこの距離では長い気もするんですが、ヴィクトリー次第ですかね。そのヴィクトリーも馬体では不安なし、調教もあの馬なりに順調で、気性的な不安と、堅い走りなので直線が長すぎるかなという懸念がありますが、底力は侮れないでしょう。ウオッカは力関係だけだと思うんです、距離は前から言ってたようにマイルより2400のほうがあっている体型だと思います。ホウオーには負けると信じてますが、そのほかの牡馬相手なら、十分対抗できそうな感じも。
僕は素直に単勝のみですが、どの陣営も夢舞台へきっちり仕上げていますので、素晴らしいレースになると思います。発走時刻を心して迎えましょう。