何度見てもため息ばかり出てしまう手綱捌き…、そして白熱のゴール前。
今週は最高の競馬が見れました。もうおなかいっぱいです。
◆ジャパンカップ(GI)
ジャパンカップは“フランキー”デットーリ騎手騎乗の外国馬アルカセットがホーリックスの日本レコードを0.1秒更新する2.22.1で優勝しました。2着にはルメール騎手騎乗のハーツクライ、デザーモ騎手のゼンノロブロイは3着でした。
ハナを切ったのは内から良い行きっぷりを見せたタップダンスシチー、我が本命ストーミーカフェはハナを奪えずこの時点で早くも暗雲。ケレン味なく飛ばしたタップの刻んだペースは1000m通過58.3秒という、レコード決着だった昨年より1秒以上速いハイペース。展開は縦長になり後続も追走に脚を使わされるかなりタフ展開。直線では引き離したタップダンスシチーのリードは残り200mでなくなり、馬場の真ん中から早めに動いたウィジャボードが抜け出しにかかるところを、外からゼンノロブロイ、間を割ってアルカセットが追い込み一気に先頭に。更に内をすくってハーツクライが猛追、ハナ差の大接戦を制したのはデットーリのアルカセットでした。
勝ったアルカセットは、一応予想で外国馬の最有力には挙げたものの正直半信半疑で、いくらデットーリとはいえ3番人気はやりすぎじゃないかと思ってました。BCを回避したのも体調不良の影響だと聞いていたし状態面でかなり疑問が残りました。しかし、終わってみればまたもやデットーリマジック、あれは神か悪魔か?イーグルカフェで勝ったジャパンカップダートもそうでしたが、スタートからインぴったりで経済コースを通り道中は全く無駄なく完璧な折り合い。それで勝負所の3コーナーではほとんど馬なりでスルスルと進出していき、直線に向くころには先頭に並びかけるような位置取り。直線ではものすごい追いと鞭で馬の末脚を引き出し、最後もキッチリ残す。余力などない、まさしく馬の100%を全て引き出した騎乗、その動作どれとっても隙がなく、一つのミスもない。レコード決着でハナ差の勝利、ファルブラヴもやはりハナ差だったわけで・・・つまり、これは偶然でも何でもなく本当に「神業」なんです。ああ、まじで凄すぎ・・・、もう感激。ちなみにこの馬は2400mという距離をかなりたくさん使っていますが勝ち時計の最高が2:28.9。芝が違うとはいえ持ち時計を6秒以上縮めたことになります、絶対能力の長けた馬なら時計は関係ないということなのでしょうか。ちょっと驚きですね。
負けたとはいえ2着ハーツクライは良くやったというべきでしょう。タップが飛ばしたことにより待ってましたのハイペース、ハーツクライも後方から脚を溜めて今度こそと末脚を温存。ルメール騎手は馬場を考え、おそらく外ではなくインをついて直線強襲するのでは?と思ってましたが予想どおり直線ではインから鋭く差し込んできました。脚色は完全に上回ってるのに、最後ハナ差で負けてしまったのは、相手が悪かったとしか言いようがないですね。最後ウィジャボードに馬体を寄せてすこし迷惑をかけたのを気にしてか「道中は最高、直線は最低の競馬」というコメントを残していますが、それでも、この馬の力を最高に引き出した素晴らしい騎乗でした。ここでまた2着はちょっとかわいそう。かわいそうといえば、ハーツクライは橋口調教師、横山典弘騎手、ルメール騎手と「GIで2着」の要素が強い関係者ばかり・・・そういう星のもとに生まれてしまった馬なのかw。それでも、ホーリックス=オグリキャップの日本レコードを更新した日本馬はこの馬だけ、時計的には「オグリを超えた唯一の日本馬」というわけです。この距離ならゼンノロブロイを完全に超えたといえるかもしれません。
そのゼンノロブロイは直線で絶好の手応えで伸びているように見えたのですが、結局3着まで。抜け出す脚は素晴らしかったのですが、最後残り100mで完全に脚が止まってしまいました。デザーモ騎手はペースが速いと見てかなり後方に構え、追い出しをワンテンポ遅らせました。直線でも外を回しながら極力不利のない位置取り、それでもやはり最後に止まったのは「距離」かなと思います。ハイペースでレコード決着の厳しい流れだと、2400mは微妙に長いのかもしれません、本質的には2000mの馬だと思います。ただ、デザーモ騎手は「2着もない」と判断した時点で、追うのをやめて見せムチに切り替え、最後は手綱を緩めつつ首を伸ばすことに徹しています。リンカーンやウィジャボードが迫っていたので勝てないまでも3着には絶対に残すという騎乗、あのまま追い続けたら3着も危なかった可能性もあります。この切り替えの速さに脱帽です。1番人気を裏切ったとはいえ、デザーモ騎手に一流を見ました。
4着リンカーンはちょっとびっくり。東京ではあまり良くない印象でしたがさすがの実力を示しました。有馬記念に向けていい材料でしょう。ウィジャボードもよく頑張りました、正直昨年の出来に無いと思っていたので直線伸びてきたときはどうしようかと・・・結局5着に終わりましたがこのスピード決着にも対応してみせたのは流石です。
タップダンスシチーは結局10着に沈みましたが、スタートから勢いよく逃げハイペースを演出。この馬自身が作った2000mの通過ラップは1:57.7でなんと東京の2000mのレコードより0.3秒速いのです。坂とかもあるので一概に言えませんが、これは凄いことです。やっと少しだけ体調が上向いてきたようですね、有馬記念のコースならもう少し息が入るのでチャンスはありそうです。
本命にしたストーミーカフェは、ハナが奪えなかった時点で半分終わってましたが、タップがかなり飛ばした2番手で溜めることも行くこともできず何もできないまま直線で力尽きて最下位に。結果的には実力不足と距離が長かったということかもしれません。ただ、タップがあれだけ元気があるのはちょっと予定外でした。いずれは上を目指せる馬だと思うので、ここは完敗もこれを来年につなげてほしいです。
究極のレコード決着になったこともありますが、直線での大激戦は見応え十分で最高にエキサイティングなものでした。さすがにあのペースでは上がり33秒台の馬などおらず、すべて34秒台、それでいてあの迫力ですからね。やっぱり競馬はこうでなくちゃ、と思っちゃいます。僕はやはり東京の2400mこそが最強馬を決めるにふさわしい舞台であると確信しているので、有馬記念よりジャパンカップが日本で最高峰のレースであるべきだと常々考えています。今回のレースは、その考えを証明してくれたような気がします。各馬が実力を出し切り、なおかつ最高レベルの騎手の手綱捌きや駆け引き、間違いなく今年のベストレースだったと思います。これを生で見れた人たちは幸せですね、しばらくはこのレースの余韻にふけっていたいと思います。。
ちなみに、勝ったアルカセットとウィジャボードはこの後は香港に参戦予定だそうです。アルカセットはその後の予定は未定ながらも、来年から日本で種牡馬入りするプランも考えられているようです(bloodhorse.com)。正直ミスプロ×NDってもうあんまりいらないんじゃ・・・とも思いますがね。
ジャパンカップダートの回顧はまた後ほど。

