2005年11月21日

ハットトリック一蹴、名手の捌きが光った/マイルCS回顧

戦前の狙い通りにハイペースになったにも関わらず、差し馬の末脚が届かない・・・
王者デュランダルはまさかの大惨敗。そしてレースレコードでの決着。
勝負を決めたのは、騎手の仕掛けのタイミング。

◆マイルチャンピオンシップ(GI)
あまりにも後ろにいた馬たちが伸びてこなかったため、レース後「スローだったんじゃないか?」と思いたくなったのですが、実際には1000m通過57.1秒のレース史上2番目のハイペース。それでいてなぜ後ろの馬たちがことごとく届かないのか?最初は首をひねるばかりでした。

ひとつのポイントは、京都の馬場が高速前残りに近い状態になっていたということ。前の馬たちは速いペースに乗りながらもなかなか止まらない、ほとんどの先行馬が34秒台で踏ん張っています。じゃあ差し馬たちはどうだったかというと、33秒台の脚は使っているものの、それ以上の脚は現実的には不可能、上がりの限界というやつです。だから、基本的には先行して押し切る競馬が勝ちパターンの流れになり、そういう意味ではダイワメジャーが最もはまった競馬をしたといえるでしょう。

勝ったハットトリックは唯一後方から差して粘るダイワメジャーをハナ差捕らえきりました。それを可能にしたのは、ペリエ騎手の絶妙の仕掛け。前走の天皇賞でこの馬の脚を完全に把握したペリエ騎手は、一瞬の切れではなく、エンジンのかかりが遅いタイプと判断して、3コーナーから押して押しての傍目には強引に映るほどの早仕掛けを断行。4コーナーに向いた時点でデュランダルとは2馬身の差。そこから素晴らしい伸び脚を見せ、ギリギリ差しきったというわけです。デュランダルと上がり時計はほぼ同じ、結局4角での2馬身差がそのままゴールまでいっても変わらなかったということ。レース後のペリエ騎手のコメントで「前の馬を意識してなんとか差しきろうと考えた」とありましたが、デュランダルが圧倒的に注目されている中、展開的に差し馬に厳しいと判断して、早仕掛けでも前を捕らえに動くという一瞬の判断、やはりこの人は天才であると改めて思い知らされました。個人的に今回の予想で一番の敗因は名手ペリエを甘く見すぎたことでしょう。

とはいえ、ペリエ騎手が巧かったというだけでは当然勝利に結びつきません。ハットトリックはイメージからスローの上がり勝負の馬という感じがしていたので、ハイペースになりそうなここでは軽視すべきという見解でしたが、厳しい流れの中でも目の覚める末脚でしっかり伸びました。逆に、マイルではこれまでスロー〜ミドルのペースしか経験していなかったデュランダルのほうが追走で手間取りいつもの行き脚が見られませんでした。イメージとは恐ろしいものです。実際東京新聞杯なんかのレースをみても、長い直線でジワジワ伸びてきてトップスピードになるのは最後の1ハロンぐらいという感じだったのを思い出し、割とエンジンのかかりが遅い馬なんだなと気づかされました。たった一回の騎乗でそれを掴んで、次のレースできっちり生かしたペリエ騎手がやはりすごいわけですが。いずれにしても、今回の内容は非常に強いものでした。レコード自体は速い時計の出る馬場なので額面どおりの評価とはいきませんが、ああいう展開でもきっちり差してこれたというところを評価すべきですね。まだ4歳で今後の活躍も期待できます。

敢闘賞を与えるならやはりダイワメジャーですかね。流れ的には完全にこの馬の勝ちパターンだったはず。レコードタイムのハイペースを先行して押し切ってしまうスピードと持久力は皐月賞でのパフォーマンスそのまま。今回も積極的に先行して直線ではインを力強く伸びましたが、ゴールの直前にハナ差負けてしまいました。1頭になってソラを使ったとのことですが、それでもよくやったと褒めるべきでしょう、ルメール騎手はこの馬の特徴を巧く引き出すことに成功しました。スローでもハイペースでも速めに動いて勝機を見出すのはやはり外国人騎手ということなのですかねぇ。いやいや、日本人ジョッキーだって決して負けてはいないでしょう、ただ、今回はこの2人の判断は光りました。

デュランダルは過去の戦績を改めてみると、スローからの瞬発力勝負という流れが多く、マイル以上の距離でハイペースを追走して最後伸びるほどのスタミナがなかった、という判断もできるかもしれません。ただ、これまでのこの馬のパフォーマンスを考えるとやや納得のいかない部分もあります。一言で言ってしまえば3コーナーから動ける馬とそうでない馬の差が出てしまったということでしょうが、レースレコードだったにも拘らず15着までが1秒以内に収まるという少々異常な馬場だっただけに、馬の能力以外の部分にエクスキューズを求めたくなります・・・。パドックでの馬の状態はほぼピーク、年齢的な衰えは少なくともなかったように思いますし、前走を見れば明らかです。ただ、やはりここは「力負け」でしょう。3連覇ってのは難しいんですね。

アドマイヤマックスはよく伸びていますが、結局善戦まで。流れも影響しましたが、やはり短距離のほうがいいのかもしれません。ラインクラフトは「予定通り」の中団競馬、もっと行ってしまうかと思ったんですが、落ち着いたものでした。最後もきわどく前に迫り、高いマイル適性を示しました。競馬の幅も広がりましたし、この距離で牝馬同士では負けないでしょう。

マイネルハーティーは・・・さすがにあのペースをデュランダルより3馬身以上も後から追走しては、どうしようもありません。分かっていたことですが、所詮展開まかせなんですよね。速い上がりは使えていますが、勝ちにいけなければ何の役にも立ちません。現時点ではこの時計で走られてはお手上げ状態です。今後はもう少し短いところを試してみるのも手かもしれませんね。まだ若い馬ですから来年以降に期待します。。



posted by 馬砂雪 at 21:15| Comment(0) | TrackBack(5) | レース回顧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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