本当に"飛ぶ"馬はいるんだなぁ
引退レースの有馬記念で最高のディープインパクトを見せ付けられました。最後まで緊張を解かず、これだけの状態を維持した陣営にはただ頭が下がる思いです。
直線の短い中山内回りの有馬コースでも飛んでみせるとは、やはりこの馬だけは計れない。ディープが勝つには上がりの競馬を捨てて、早めに捲って押し切るしかないと思ってましが浅はかでした。皐月賞より、昨年の有馬より遙かに速い脚で4角を回り、坂で止まるどころか加速して突き抜けるまさに"飛ぶ"走り。4角で他馬を置き去りにする加速の速さに感動すら覚え、これこそがこの馬の真骨頂なんだと改めて感じました。過去のレースと比較してもベストパフォーマンスと言える強い、そしてディープらしい内容だったと思います。
有馬記念を上がり33秒台の脚で差しきったのはマンハッタンカフェだけ、それを0.3秒上回りましたが、最後は流して手綱を緩めていたので追えば33秒前半を計時していたでしょう。池江泰郎調教師は「競馬とは上がり3ハロンにどれだけの脚が使えるかの勝負」と言いました。自分のスタイルを頑なに貫いて、最後の瞬間まで輝き続けた優駿の姿に、競走馬のひとつの完成形を見た気がします。
3歳3頭は各々の競馬をしましたが、100%のディープの前には全く問題になりませんでした。メインは前半ハイ、後半スローの流れを作ろとするも4角で早めに来られてアウト。ドリパスはインベタから好機を狙うも前の馬が動かず行き場をなくして半分自滅。サムソンは番手から自分の競馬を試みたが上がり勝負に対応しきれず完敗。ただ、それぞれが勝つための選択をしての結果だけに、納得しています。来年に希望がつながりました。
レース自体はメインが離して逃げるも後続はスロー。逃げ馬のペースが落ちた後半に、前の馬がなかなか動かなかったため、結果的に上がり勝負になり展開やコース取りで不利を被った馬が何頭かいました。またディープに競馬をしやすくしてしまいました。ただダイワのアンカツにしてみれば距離不安がある中自分から動けないのは当然だし、ポップロックのペリエも漁夫の利狙いの死んだフリ作戦。デルタ岩田は自分で流れを引き込むために、最初から外で待機して多少ロスがあっても早め捲りをやるしかなかったはず。厳しい言い方ですが、今回は鞍上の選択ミスで不完全燃焼だったように思います。
ポップロックの成長ぶりは見事。鞍上の作戦がハマった感が強いものの、海外遠征帰りできっちり結果を出したことは素晴らしい。来年も注目です(川田が乗ってくれないかな?)。
ディープ以外の掲示板に載った馬+アドマイヤメインは恐らく実力的にそう差はないでしょう。条件、展開、状態一つで着が入れ替わるほど接近した関係だと思います。そんな中誰が来年の主役になるのか、僕はまだまだ成長途上に感じる3歳馬に期待したいです。
さて、ついに引退を迎えたディープインパクト。引退式でまだ若々しい姿を見ていると、(引退に納得しているはずなのに)やはりちょっと勿体無いなんて気持ちが沸いてきます。あのしなやかで美しいフットワークがもう二度と見られないのは寂しいですね。
種牡馬としての彼の可能性は正直わかりません。「馬格の無い馬は種牡馬で成功しない」というのは、多くの例外を含んでいて根拠乏しいネタなので自分は信じていませんが、一方でディープの走りの原動力は強靭な心肺機能とともに、一種天才的なフォームから生み出される一分の隙もないフットワークの賜物だと考えています。その二つが奇跡的に同居したからこそ"飛ぶ馬"が生まれたのだというのが持論。だとしたら心肺はともかく走りのフォームまで産駒に受け継がれるものかという漠然とした疑問があり、ディープの仔だからポコポコ走るかというとそう簡単ではないんじゃないかなと思ったりもします。が、まあ直にわかることです、月並みですが産駒があの天才的なフォームを受け継いでくれることを期待しましょう。
2006年12月26日
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